国境越え囲碁対局40年 丹波と米国の男性、初対面へ
丹波市氷上町成松の元中学校教諭、勝川 浩幸さん(72)が約四十年間、
航空便と Eメールで、アメリカの男性と囲碁の対局 を続けている。
これまで会うどころか電話で声を聞くこともなかったが、
8月に渡米 し、対面が決まった。
「長い付き合いの一 区切り。積もる話をして、一局打ちたい」 と心待ちにしている。(太中麻美)
対局相手は、カリフォルニア州ベンチュラ市のテオドール・ドランジェさん(75)。
出会いは1966年。アメリカにも囲 碁本部があることを知り
「文化の違う国の人と対局してみたい」と同本部を通じ相手を募集。
ウェストバージニア州立大学の准教授だったドランジェさんが応じ、
翌年10月に航空便を使った第一局が始まった。
対局方法は升目に記号を割り振り、一手 ずつ打つ手を指定する。
航空便の一往復は 最短10日。一局に180〜250手を要し 、
終わるまでに約3〜5五年かかる。二、三局 同時進行する形で、
これまでに三十六局が終了した。7年前からはEメールでやりとりしているが、
対局のペースは同じだ。
勝川さんは「時間をかけて最善の一手を 考える楽しみがある。
ネットでの対局も普及したが、やめようとは思わなかった」と 魅力を語る。
勝川さんは6段の実力で、初心者だったドランジェさんも4段程度まで上達したという。
家族の写真を送り合ったり、哲学が専門のドランジェさんが
「囲碁の理論を授業に使う」とアイデアを披露したりと心の交流を続けた二人。
2002年、勝川さんに渡米予定があり、会う提案をしようとした矢先、米同時多発テロで断念。
お互い高齢で 半ばあきらめていたが、
囲碁仲間と今年8 月29日に全米囲碁選手権を観戦することに。
「最後の機会かもしれない。ぜひ会いたい」と誘い、ドランジェさんが快諾した 。
勝川さんは「どちらからもやめると言い出さず、
大病や災難に見舞われなかったからこそ続けることができた。
囲碁を通じた 縁に感謝したい」と、盤上での初対局を楽 しみにしている。
(7/16
15:20)
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