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歌人としてご活躍中の原谷洋美さんが、
新たに歌集「億光年」を出版されました。

 原谷さんは東京在住だが、生まれたのは(現在の)兵庫県丹波市山南町。篠山川と佐治川が合流する加古川の上流の地で、豊かな自然の中で育ったという。そのせいか、彼女の歌にはどこかなつかしい風が吹いているような気がする。

 物事には必ずいくつかの側面があって、光の当て方によって全く違う表情を見せることがある。原谷さんは暗よりは明を、過去よりは未来を、悔いよりは希望を選び取る人である。
そのとき、彼女が無理をしてポジティブに振る舞おうとしていないことが、私にはうれしい。
 あくまでも自然体。そして、色彩感覚や季節感や数字やモノの質感を大切にしながら場面を組み立てていることに共感と説得力を覚える。

 栗木京子さんの序文より抜粋

「億光年」から3首紹介します
ほら耳を澄ましてごらん山鳩は父さん母さん呼ぶよと祖母が
坂一つ越えて小さなアパートに赤き自転車漕ぎて娘は嫁す
ぞりぞりとバリカン刈りゆく丸坊主の祖父を久しく梅雨忌に思ふ

原谷洋美、
山南町出身 柏原高校第20期生
短歌は、由良琢郎先生に師事、
短歌結社「礫」に所属、礫賞受賞
他に「馬を遣わす」「一陽来復」を出版
短歌研究社 発行 ¥2000 
平成24年9月25日発行