おめでとう!上原 千紘さん!!

柏原高等学校1年の上原千紘さんが、毎日新聞、全国学校図書館協議会他主催の第18回読書感想画中央コンクールにおいて、優秀賞(自由読書部門1位)に 選ばれ、この程東京如水会館での表彰式に出席しました。
 このコンクールは、全国小、中、高校7385校が参加、521,985点の応募の中から、各地方審査を経て中央審査会に553点が送られ、その中から 最優秀賞4名、優秀賞8名、優良賞16名、奨励賞525名が選ばれるというものです。(表彰式には、最優秀賞、優秀賞、優良賞の28名と奨励賞代表の1 名が出席しました)

本を読んだ感想とさらにそれを絵にするという、読書力、想像力、表現力が必要なこのコンクールは、大変な努力を要しますが、活字から遠ざかる昨今の環 境で、青少年が良い本との出会い、喜び、感激を大切に、豊かな成長を遂げてくれることや、活字文化の振興を願って始められたものです。 

優秀賞を受賞した上原千紘さんの作品は、「波打ち際の思い出」。江國香織著・こみねゆら絵「すきまのおともだちたち」のイメージをガッシュとクレパス で描いたものです。
 内容は「私」が何の前ぶれもなく旅先で「すきま」に落ちるように出逢う世界、そこには9歳の女の子と物言うお皿が暮 らす小さな家、庭にはギンモクセイの茂みとレモンが,いつの間にか現実とはつながっていない、どこにもない世界が広がり、女の子はずっと9歳のまま。
 感想画に添えられた上原さんの言葉「この本を読んだ時、話の中に出てくる「すきま」という別世界に夢や美しさや憂いの様なものを感じたので、それを絵 にしてみようと思って描きました。
 この物語の主人公は、電車に乗った女性なのですが,「すきま」での思い出をかき消していく波を抜けて、現実の世界へも どって行くのです。今ここにいる瞬間の女性とはもう会えないと知って悲しみのような表情をしています。」
 絵で一番主張したかったものは「電車のレールが遠くに消えてゆくところ、現実の世界から遠ざかっていく感じを表現したかった」と。
「すきま」での出来事は、上原さんにとって「自分が体験したことのない世界で、優しさも感じます」
 本を読んで頭に浮かんだイメージを、いざ絵にしてみると、つまらないと感じることもあり、何度も描き直すこともありますと微笑む上原さん、将来は美術 関係に進みたいと語る目には、もの静かでちょっと内気そうな外見からは想像できない意志の強さを感じました。傍らで愛娘を見守る若い父上は、「この娘は 小さい時から黙々と絵を描くのが好きで、はがき絵コンクールで最優秀賞をもらったこともありました。将来は娘の好きな道を行かせたい」とお嬢さんの良き 理解者でもありました。

引率の荒木先生によると、「夏休みの宿題に、読書感想文または読書感想画のどちらかを選択させているけれど、1、2年生560人の生徒の内で感想画を 描いてくるのは約40名です。感想画は本の情景を描くのではなく、本を読んで咀嚼して、その上で本全体を把握して、自分で感じたことを描いていくので、 読解力、表現力が要求され、かなり難しいものです。特に高校では土曜休日の影響や情報学など新しい教育科目が増え、芸術面での勉強がどんどん減少してい るので、この読書感想画は貴重な機会の一つです」とのことでした。

来賓の一人は「読書感想画にはのびやかで瑞々しい感動を大切にしてみんなに伝えたい気持、ひとへの優しい愛情が横溢していて、観るものを優しい気持ち にさせてくれました」と賛辞を述べ、作家の新村よう子さんは「豊かな想像力、確かな表現力は将来が楽しみです。たくさんの良い本に出会って、豊かな人生 を送って下さい」と受賞者を励ましました。

授賞式の後作品が飾られた会場で、和やかな交換会が催され、上原さんもはにかみながらも晴れやかな表情で話してくれました。
     あらためて上原さんおめでとうございます!!。

優秀賞を代表して表彰を受ける上原さん
展示された作品の前で荒木先生と
受賞者全員で記念写真・後列右から2人目が上原さん
上原さんの作品